空が青くて涙が出るよ

ブログタイトルはビートルズのBecauseという曲からです。深い意味はありません。

スクール・オブ・ロック ザ・ミュージカル

ロックしてる?

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感想を上げたいなと思いながら放置していた下書きを掘り起こして書き上げることにしました。ひどい出来の記事になったとしても、少なくとも未完成のひどい出来の記事ではなくなることを心の支えにして...(この文章に思い当たる節のある方、友達になりましょう。思い当たる節のない方、スティーヴンキングの『IT』を読みましょう)。

画像からも分かる通り、今回はブロードウェイミュージカル『スクール・オブ・ロック』の話です。私がこのミュージカルを観たのは昨年夏。観てから1年4ヶ月くらい経ってるし自分の記憶に全く自信がないので全ての文の語尾に「確か」が付いていると思って読んでいただけると幸いです。


おおまかなこと

スクールオブロックは、かのアンドリュー・ロイド・ウェバー氏が手がけたミュージカル。2003年に公開された同名の映画を元に作られ、2015年12月にブロードウェイにてオープンし2017年12月現在も上演中です(公式サイト)。映画版にはRENTのアダム・パスカルやコメディアンのサラ・シルヴァーマンなんかも出演していました。

現在『スクール・オブ・ロック』と『オペラ座の怪人』と『キャッツ』という、アンドリューウェバー氏の手がけた3つのショーがブロードウェイで同時上演されているという...バケモノか...
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この3つのミュージカルをマッシュアップしたカオスで楽しすぎるパフォーマンス動画
www.youtube.com

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劇場の表側はこんな感じでした。看板が、でかい。この道を右にちょっと歩いていけばタイムズスクエアです。


こんな話

ルームメイトになりすますことでエリート私立学校での代理教師の職を得たロックを愛する男デューイが、受け持った生徒たちと一緒にロックバンドを作りバンドバトル優勝を狙います。


ちょっとした感想

私は映画のスクールオブロックが大っっっっ好きだったので、ミュージカルになると知ったとき「完璧な作品が既にあるのにそんなことする必要ある?」という思いが先に来てしまって正直あんまり興味が湧かなかったんですが、トニー賞でのパフォーマンスのあまりのかっこよさに「やっぱり見ておこうかな」という気持ちになりチケットを買うに至りました。そしてめちゃくちゃ楽しみました。見てよかった...ありがとうトニー賞...

トニー賞でのパフォーマンス。曲は"You're In The Band"。生徒たちの演奏する楽器含め全て生演奏です。)
www.youtube.com

幕が上がるその瞬間から最後まで一貫して感じたのが、「ライブ感」でした。生の人間が演じる生の舞台だからってだけではなく、劇中のバンドのライブシーンは実際にそのライブ会場にいるかのような感覚に陥りますし、観客に小学生〜中学生くらいの子供たちが多かったのもあってか劇場の盛り上がりがすごくて、「今この時を共有してる!」という感覚が他に見たどのミュージカルよりも強く感じられて本当に楽しかったです。また、展開が早いのでエネルギッシュなロックに痺れた次の瞬間にはジョークで笑わされ、笑わされたと思ったら次の歌で泣かされ、泣かされたと思ったらまた笑わされ...と、感情がジェットコースターに乗せられっぱなしでした。

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ミュージカル版もストーリーは映画とほぼ同じなんですが、黒人の女の子トミカの親が白人のゲイカップルになっていたり、いろんな現代的なセリフが加えられていたりと、細かいアレンジが効いていたのも良かったです。

あと劇場ではTeacher's Petというオリジナルドリンクを売っていました。甘い炭酸系のノンアルコールドリンクだった気がします。味はぼんやりしか覚えてないんですが、色が鮮やかなピンク色だったのはハッキリ覚えてます。アメリカ!


"Where Did The Rock Go
"

「いうて子供向けミュージカルでしょ」みたいな気持ちでいったら確実に心抉られる曲がこの"Where Did The Rock Go"です。私は心抉られる曲が大好きなのでスクールオブロックの中でも特にこの曲にどハマりしました。定期的に聴いて心を抉られてます。(もう一つ、"If Only You Would Listen"という曲もかなり抉られます。おすすめ。)

この曲を歌うのは、生徒も他の先生方も萎縮させてしまう厳格で神経質な校長先生ロザリー。デューイに飲みに誘われた先のお店で彼女はかつて夢中になっていたロックシンガー、スティーヴィー・ニックスの歌を聴き、思わず心の声をこぼします。

www.youtube.com

歌詞と和訳
Back when I was younger, wild and bold and free,
私がもっと若くて  奔放で大胆で自由だった頃
I can still remember, how the music used to be.
今でも思い出せる  あの頃の音楽がどんなものだったか
Chords like rolling thunder, loud beyond control,
コードは轟く雷のようで  騒々しくて制御が利かない
Every note and lyric branded right across my soul.
音と詩の一つ一つが私の魂全体に焼き付いた

Where did the rock go?
ロックはどこへ行ってしまったの?
Where's the rush of those electric guitars?
あのエレキギターのほとばしる音はどこ?
Where are all those voices raised in heaven,
どこへ行ったの?  天国で生まれ
Blazing down like shooting stars?
流れ星のように燃えて落ちていったあの歌声は

Tell me where is the passion?
教えて  情熱はどこへ行ってしまったの?
Where's the rattle and the roar and the buzz?
あの大騒ぎに叫び声  熱狂はどこへ?
Where do last year's one-hit-wonders go to?
去年の一発屋歌手たちはどこへ行ったの?
And what happened to the girl I was?
かつて少女だったこの私に何があったの
Somehow I got older, year by busy year.
私は歳をとったのね  忙しく年を追うごとに
Guess the songs kept playing, but I didn't stop to hear.
歌はきっと歌われ続けていたでしょう  でも私は立ち止まって聴かなかった
All that youth and swagger turned to grown-up doubt,
若くて自信に満ちていた子は疑り深い大人に変わった
as the world spun like a record, and the music faded out.
世界はレコードみたいに回って  音楽は消えていった

Where did the rock go?
ロックはどこへ行ってしまったの?
Where's the pounding of the drums in my veins?
私の血管で激しく脈打つドラムの音はどこへ?
When did all the static fill the airwaves?
放送波が雑音でいっぱいになったのはいつ?
When it's gone, then what remains?
それが消えてしまったら他に何が残るの?

Tell me where did the time go?
教えて  あの時間はどこへ行ってしまったの?
Where's the joy I used to know, way back when?
私の知っていたかつてのあの喜びはどこ?
Where's the power and the beauty?
あのパワーやあの美しさは?
Then the frantic end, the rapture?
それに狂気じみた締めくくりに  あの恍惚は?
Where's the magic of the moments only rock could ever capture?
ロックだけが捉えることのできたあの魔法のような瞬間はどこへ?
Now the only thing I'm hearing, are the echoes disappearing.
今私に聞こえるのは消失のエコーだけ

Sorry for the outburst. Please, I'll be okay.
感情的になってごめんなさい  大丈夫  落ち着けるから
Let's keep this our secret. Who'd believe it anyway?
この話は私たちだけの秘密にしましょう  そうでなくても誰が信じるっていうの?
We'll pretend it never happened, file it and forget.
何もなかったふりをして ファイルに閉じて忘れるの
Still, thanks for the reminder that there's music in the end.
でも  結局そこには音楽があるって思い出させてくれてありがとう

Where did the rock go?
ロックはどこへ行ってしまったの?
All those feelings that I learned to ignore?
目を背けることを覚えてしまったあの気持ちは?
If you flip the record and start over, does it sound the way it did before?
レコードをひっくり返して最初からやり直せば  かつて鳴ったような音が鳴る?
Where did the rock go?
ロックはどこへ行ってしまったの?

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何回聴いても泣いてしまうわこんなん。

スクールオブロックの伝えてくれるメッセージの一つは、「ロックは世界を救う!...かは分からないけど、何かに押しつぶされそうになってる人を救う手助けにはなるんじゃない?」だと私は思っています。作品内の子供たちは、ロックを通して親や先生といった権力者(the man)に抗い、ロックを通して「大人の望む自分」ではない本当の自分の姿を見つけ、ロックを通して自分の持つ才能を輝かせます。ロックは多様な子供たちを受け入れ、すくい上げ、力を与える手段として働きました。

では、「権力者(the man)」側のロザリーはどうでしょうか。彼女は子供たちとは違い「名門校の校長」という力を持っていますが、それ故に彼女もまた多くのプレッシャーを抱えています。周りから求められる「あるべき校長の姿」は「ロックに熱狂する少女」を徐々に殺していき、ロザリーはそれに向き合うことができずにいました。そんな彼女に本来の自分の姿を思い出させるきっかけを与えたのが、バーでかけられた一つのロック曲です。その曲は彼女がかつて情熱を傾けていたもの、大事にしていたもの、そして今は失ってしまったものに目を向けさせました。どんなにロックを聴いても失ったものや失った時間は戻ってきません。しかし、かつての自分が夢中になっていたロックを通じて、彼女はこれまで犠牲にしてきたものに気づくことができ、目を背けてきたその喪失と痛みに正面から向き合うことで、「周りの求める自分」に完全に押しつぶされてしまう前に本当の自分を取り戻すことができたのではないかなと思います。

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最後に、なんで1年以上も前の観劇記録を今上げようと思ったかというと、この『スクール・オブ・ロック』のロザリー校長先生のオリジナルキャストであるシエラ・ボーゲスが、今、日本にいるからです。この、"Where Did The Rock Go"を歌っている声の持ち主、シエラ・ボーゲスが、日本で、コンサートに出てるんですよ!今!

『4Stars 2017』特設ページ | 梅田芸術劇場

この4Starsというコンサート、シエラ・ボーゲスさんと共に、ラミン・カリムルーさん、シンシア・エリヴォさん、城田優さんがステージに立ち歌いまくるそうですよ。いや...豪華すぎでしょ...なに...

12/14〜12/17が大阪公演、12/20〜12/28が東京公演で、公開されているセットリストには"Where Did The Rock Go"も含まれています。行くっきゃ!

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スクール・オブ・ロックCD。

School of Rock: the Musical /

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